公私を問わず、名古屋を訪れる人が、最も期待するもののひとつに「なごやメシ」があります。「なごやメシ」は一見すると不思議なものが多く、味の想像が難しいものもありますが、一度食すとその魅力にやみつきになることも多いようです。またそれぞれに独特な食し方や作法、発祥などの歴史・文化が息づいています。それを知ると、実際に訪れて食したくなり、さらにそれを周囲の人に語りたくなります。それらの話をまとめた「なごやメシ」指南書を、目にも楽しく、動きのあるPOP-UP BOOKとして制作しました。「なごやメシ」が誕生した店舗にインタビューを行い、現在に至る経緯などを調査する一方で、地元ならではの情報も掲載しました。またガイドブックとしても活用できるように、最寄り駅や店を利用する際のおすすめシチュエーションも記載しています。食し方をPOP-UPで見せることで、より理解と興味を深めようと試みました。
お土産とは、その地の思い出をカタチにしたもの(追体験:自分用)であり、贈られた人もその地の事を知り、訪れてみたくなるようなもの(疑似体験:相手用)であるともいえます。自分にも、相手にも、ともにお土産になるように考えました。名古屋を思い出し、名古屋を訪れたくもなる、この一冊。さあ、これであなたもすっかり名古屋人!
今回このプロジェクトに取り組み、買うものであったおみやげを、作る、という視点に転換したことがとても良い経験だったと思う。また、良いデザインとは機能的に優れている、という概念だけでなく、おみやげの持つ意味、背景などを考え、買う人と共に贈られる人の気持ちを想像するデザイン活動が必要であることを知ったことも大きい。
また、神戸市との共催であったが、通常は他のグループの発表を見て刺激されても1回の発表で終わりだが、もう一度会場を替えて発表機会があるということで、完成度の高いプレゼンに挑戦でき、とてもよかった。とかくアイデア勝負になりやすく完成度が低いのが学生作品の問題点である。自分達の作品を客観的に眺め、再挑戦できることができたことは貴重な体験であった。もちろん2都市の個性の違いが大きな魅力であったのはいうまでもない。
雨宮勇