新聞の紙面を使った都市の変遷のシミュレーション
個人の中にある「住んでいた昔の家」の記憶の発掘
新聞とは、決して新しくはない紙メディアであるが、紙が持っている力というものもあるはずである。新聞という歴史あるメディアで名古屋市の魅力を伝えつつ、同時にまた既存の物を変化させていくことの難しさも考えてみたい。
都市に新しい建物を建てる場合には、既存の建物を一度壊して空地にする必要がある。今回のプロジェクトでは、明治39年(1906年)11月26日の新聞を模して作った「なるへそ新聞0号」を既存の都市に見立て、各記者がその街並、記事の一角を取り壊し、空地を作って新たな記事をレイアウトした。
そしてその過程の中で、既存の街並、レイアウトを活かして新しい物を作ることは、まっさらな土地や紙に好きなデザインをするのとはまた違う難しさがあるということに気がついた。
また、街の人たちにインタビューをして、家の思い出を記事として掲載したが、それらは昔の話であるのに、最近の出来事のように読ませることが新聞という媒体の持つ特性である。その特性によって過去の街の記憶を現在の街に移植することが可能になるのだ。
今回、私たちが新たに作りなおした街のシミュレーションとしての新聞紙面は、美しくはならなかった。しかしこれが都市の現状でもある。名古屋には、400年という長い年月の変遷があり、そしてその変化はこれからもずっと続いていくのである。
船橋 和歌子
名古屋学芸大学
メディア造形学部
服部一輝
愛知産業大学
造形学部
稲垣早織
名古屋学芸大学
メディア造形学部
木村容子
名古屋芸術大学
デザイン学部
中嶋健太
名古屋工業大学
大学院
土田友甫
名古屋市立大学
芸術工学部
趙 玲玲
名古屋大学
大学院