久保寛子

プログラム

久保寛子《ハイヌウェレの彫像》2020/2022

展示〈名古屋城〉

《ハイヌウェレの彫像》2020/2022

会場:
名古屋城 御深井丸
観覧時間:
9:00-16:30※観覧には名古屋城⼊場料が必要です。

アクセス

ステートメント

ハイヌウェレとはインドネシアの神話に登場する女神で、殺されたその体から食物が生まれたとされます。日本神話におけるオオゲツヒメの逸話のように、同型の神話が世界各地に点在することから、民俗学者のアドルフ・イエンゼンがそれらをまとめて“ハイヌウェレ型神話”と名付けました。
この作品を構想していた2020年、世界は新型ウイルスの脅威に晒され始め、私はこの社会や人類の未来に不安を感じるようになりました。その不安は自身の関心をより根源的、原始的なものへ向けさせ、世界の古代神話や縄文土器/土偶をはじめとした日本の考古学に創作のヒントを求めました。
作品の表面に使用している“土”は人間の創作活動において最も古い素材の一つであり、世界や人間の始まりを“泥”や“粘土”として表現する神話も多く存在します。異常気象による土砂災害や河川氾濫などの水害が多発している現代においても、“土”は我々に色々なイメージを喚起させる物質と感じます。
仰向けに寝そべる断片化された女性像は、雨や日光や風の影響を受けて時間とともに変化します。作品が作る空間や土の表情を身体で体感していただけたら幸いです。

アーティスト

久保寛子

広島県生まれ。2013年テキサスクリスチャン大学美術修士課程修了。先史芸術や民族芸術、文化人類学の学説のリサーチをベースに、身の回りの素材を用いて、農耕と芸術の関係などをテーマに作品を制作する。2017年「六甲ミーツアート」にて大賞を受賞。主な展覧会に「高松コンテンポラリーアート・アニュアルvol. 10ここに境界線はない。/?」(高松市美術館、2022)、「さいたま国際芸術祭」(2020)、「いのち耕す場所ー農業ひらくアートの未来」(青森県立美術館、2019)、「Ascending Art Annual Vol.2 『まつり、まつる』」(スパイラルガーデン、2018)、「瀬戸内国際芸術祭2016」など。2017年より夫の水野俊紀と共に「オルタナティブスペース コア」を運営している。

https://hirokokubo.net/