2011年10月31日
2011年10月28日から29日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催された、国際デザイン会議で発表する機会を頂いた。
この会議は第6回目を迎え、3日間行われた国際デザインフェスティバルの一環として開催されたものである。 今回は”New Scenarios for Design”をテーマに据え、新しい社会における、技術、社会、経済、文化など、多様な側面を視野に入れながら、デザインが新しいシナリオをどのように構築していくべきか、という主旨で行われた。各国から集まった多彩な顔ぶれから2日間にわたり、14の具体的な事例がプレゼンテーションされた。
私はアジアから唯一の発表者となったが、前半に新しい名古屋土産「メ~ブツ」の活動と「ナゴヤプロジェクト8」、後半にプロダクトデザイナーとしての活動を発表した。会議の掲げる幾つかのキーワードの中に「地域活性のためのデザイン」もあり、その事例でもある、メ~ブツとナゴヤプロジェクト8の反応を期待したのだが、実際は、インハウスデザイナーとして在籍していたヤマハへの関心等、「グローバルに展開する企業とデザイン」に地元デザイナーの視線は向いていたようだった。正直なところ、その反応から少し複雑な気持ちにはなったが、我々(日本)が今その視線から離れ、地域デザインの活動も並行することの意味に、やっと気付き始めた事からすれば、当然の反応かもしれない。
実際に現地に赴き、街や人から感じた印象は、とても意欲的で上昇志向の強いものだった。ブエノスアイレスは、名古屋市よりも早く、2005年にユネスコのクリエイティブ・デザインシティに認定されている。以後積極的な活動を行っているが、私自身このような都市が世界の中で台頭してきている事に、実感が持ててはいなかった。事実、学生含め地元のデザイナーの実力は高く、既に多くの人材が世界中に飛出し活躍しているのである。そして今回、米国のIDEOのデザイナーや、英国のシーモアパウエルのリサーチャーなど、世界のトップレベルのデザイン会社で経験を積んだ人材がブエノスアイレスに戻ってきて発表者となっていた。アルゼンチンは領土が広く畜産大国であるが、今後の社会を見据え、知的価値としてのデザインをどう育てていくか、賢明に探っていることが窺えた。交流を持った現地のデザイナーは、揃って日本のデザイン界、建築界を高く評価していた。この先もその眼差しを受けるためには、世界を見つめつつ、 我々が今すべき事を明確化し、幅広い視点でデザインの社会的価値を問うべきであることを再認識したのである。
日時 | 2011年10月28日(金)~10月30日(日) |
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会場 | メトロポリタンデザインセンター |
主催 | メトロポリタンデザインセンター |
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