CODE ポスターデザイン・コンペティション[名古屋]

ポスターデザイン・コンペティション[名古屋]
入賞者発表
テーマ:「CODE: 都市のアイデンティティ」

デザイナーや、創造的・文化的な活動をしている人々が生みだすものは、私たちの都市のアイデンティティをかたちづくります。

このコンペティションの目的は、ベルリン、ブエノスアイレス、神戸、モントリオール、名古屋、上海、深圳それぞれの都市が持つ、独自に「つくりあげてきたもの」、「つくっているもの」、あるいは将来、「つくりあげるもの」のイメージを創出することにあります。

すべての都市は、固有のビジュアル・アイデンティティ、即ち、個性的なCODEを持っています。このコンペティションにおいて、「各都市は、どのようなCODEによって定義されるのか?」、「ベルリン、ブエノスアイレス、神戸、モントリオール、名古屋、上海、あるいは、深圳に対し、あなたが抱くイメージとは?」を探ります。

私たちは、このポスターデザイン・コンペティションを通して、世界中のクリエイティブな人々と共に、それぞれのデザイン都市(ベルリン、ブエノスアイレス、神戸、モントリオール、名古屋、上海、深圳)の中にあるシンボル、かたち、色、ストーリーといったものを描き出したいと考えます。

※「CODE」とは、CITY OF DESIGN(デザイン都市)を表し、また、個々のUNESCO DESIGN CITYが持つ独自のコード(記号/シンボル)も表しています。

応募多数!

このコンペは、参加7都市においてデザイナーたちから絶大な関心を集め、その登録総数は1400を超え、最終的に提出されたポスター作品は807点に上りました。デザイナーは各都市の独自性を打ち出すと同時に、その都市の1ユネスコデザインシティとしてのアイデンティティを目に見える形で明確にすることが求められました。

グランプリ作品 & 他受賞作品

各都市では5名の審査委員(その内1名は他のデザイン都市の専門家)によってグランプリ1作品を含む10作品が選ばれました。評価の基準となったのは、確かなデザインの原理を通じてコンセプトの独創性や創造性が十分に表現されているか、コンペのテーマとの関連性は高いか、そして、全体的または部分的に他のメディア(T−シャツ、バッグなど)への応用や形態への適応の可能性を持つかという点でした。

グランプリ
エビフライマフラー

エビフライマフラー

杉浦 良平(すぎうら りょうへい)
イラストレーター

インパクトがあり、「何だろう?」と思わせ、じっくり鑑賞したくなるようなポスターを目指しました。また7つのデザイン都市で発表されるので、名古屋がユニークなデザイン都市である事を広く知ってもらえたらと思い、名古屋の面白いアイデンティティとは何かと考え、名古屋は独自の食文化をつくりあげてきたところに注目し、その中の1つであるエビフライのマフラーを巻いている女の子のイラストをモチーフに選びました。

杉浦 良平
イラストレーター

2009年
名古屋造形大学 造形芸術学部 美術学科 卒業

受賞歴

2007年
A-net compilation store postcard design 宇津木賞(宇津木えり) 受賞
2007年
CBCTV主催 二十歳の記憶展 愛知県教育委員会賞 受賞
2008年
卒業制作 桃美会賞 受賞
入賞作品(敬称略、50音順)
名古屋の名物ひつまぶし

名古屋の名物ひつまぶし

庵原 美紀(いはら みき)
学生

名古屋の名物を考えた時に真っ先にひつまぶしが思い浮かんだ為、ひつまぶしをメインにしつつ作品に重さを感じさせないようにひつまぶしを下に配置しました。
そしてひつまぶしから出ている湯気はただ湯気を描くだけでは単純でつまらないと思い、「名古屋」という文字も表記したいと考えていたので湯気で表現してみようと思い、このような作品になりました。

Center of Japan

Center of Japan

岩瀬 寿文(いわせ としふみ)
会社員

名古屋のシンボル・鯱を、日本の地図に見立て、鯱の目が日本の中心に来るようにデザインした。また、カラーリングは戦国時代を勝ち抜いた武将の纏っていた衣装に近いカラーにし、質素で堅実な名古屋らしさを強調させた。鯱をメインにデザインすることで、シンボルとして一目で名古屋とわかることを重点に置きながらも、名古屋の歴史とともに歩んできた道のりを感じられるように、そしてこれからまた日本の中心として新しいことを発信していけるように、というメッセージを込めた。

NAGOYA LONG AGO

NAGOYA LONG AGO

鬼頭 貴彦(きとう たかひこ)
グラフィックデザイナー

名古屋は歴史を知っている街であると同時に歴史に縛られている街だと思う。「デザイン都市」という新しい符号を与えられるには、その「歴史」の意味を一度壊し、再構築する事が必要だと感じた。一見、名古屋とは繋がりのないように見えるポップなヴィジュアルとNAGOYAの文字から「A G O 」( 昔、過去)を抽出した「NAGOYA LONG AGO」の言葉に、否定ではなく、この街の「歴史」の意味を再構築するパワーを託した。

マーヴル・シティ

マーヴル・シティ

鈴木 雅俊(すずき まさとし)
学生

製作期間がちょうど梅雨の時期だったので、雨や水滴をイメージして作りました。文字やしゃちほこを白やグレーといった配色にしたのは、名古屋という都市が東京や大阪といった他の大都市に比べ、どこか派手さに欠ける堅実なイメージがあったのと、梅雨のどんよりと曇った空を表現したかったからです。

idea from 052 NAGOYA

idea from 052 NAGOYA

丹下 裕之(たんげ ひろゆき)
フリーター/デザイナー

今回のテーマ「CODE」を「新しい発想」と定義した。「ぐう」で行き詰まったならば「ぱあ」という新しい発想を閃き「ぱあ」で行き詰まったら「ちょき」という新しい発想で切り開く。そういった事を繰り返し、今日まで名古屋は発展してきた。市外局番052の名古屋市から発信される発想こそが名古屋がつくりあげてきたもの、またこれからもつくっていくもの。これが名古屋が持つアイデンティティである。

より強い名古屋

より強い名古屋(strong nagoya)

藤田 佳(ふじた けい)
学生

コンセプトは、名古屋の誇る産業を意味しています。
どんな素材であってもモノにしてしまう力が名古屋にはあります。このポスターの意味は素材がたとえ石であっても名古屋の力なら素晴らしい物は生まれる事を意味しています。そういった力が世界を支えていると言っても過言ではないでしょう。

HIRARI

HIRARI(ひらり)

真月 洋子(まづき ようこ)
写真家

名古屋は、世界にひらかれた国際空港と商業港をもち、製造業という縁の下の力持ちにささえられながら発展してきた大きな都市でありながら、なお、ゆったりとした空気をもっています。
このゆとりは、かたわらのちいさな物事に眼をむけて、それを創造へと昇華させていくことのできる柔軟性と、豊かな感受性を内包していると考えます。

きんのしゃちほこ

きんのしゃちほこ

矢野 まさつぐ(やの まさつぐ)
アートディレクター

名古屋をイメージした書体「金シャチフォント」を分解して絵を作るという手法をとっています。この作品では、徳川家康の名前を分解して名古屋城の金鯱をデザインしました。
※名古屋城は、徳川家康が天下統一の最後の布石として築いた城。

NAGOYAJAPAN

NAGOYAJAPAN

渡辺 みつお(わたなべ みつお)
自由業

戦乱の時代から現代まで、歴史から漂う気配を、名古屋の「CODE」と捉え、幼児の感じる「名古屋の熱気」を表現しました。

グランプリ作品について

本来のテーマである「CODE(記号/シンボル)」というところから、都市の意味を記号化する作品が多い中で、「エビフライ」というものをチョイスした、その感覚が評価されました。デザインに不可欠なのは造形力であり、もう一つはやはりユーモアのセンスです。名古屋だからこそ勝利を得た作品だと言えるでしょう。

名古屋では特権的な位置にある「エビフライ」を贅沢に首に巻いた、ゴージャスさと安っぽさとの狭間にある不思議な感じが、この街の文化を象徴しています。永遠にあり続ける大事なものではなくて、変わり続けていくおもしろさが名古屋であるという視点に立つと、伝統がどんどん変わっても平気な人たちのカラッと揚がった性格を表すという意味で、まさに“いま”の名古屋が表現されています。

審査を終えて

自分たちがいる場所についてもう一度見直すということで、それぞれがそれぞれの名古屋をもっているということがわかり、とても面白かったです。あえて言うならば、もう少し紙のサイズに対する意識を持ってほしかった。
祖父江 慎

金シャチなどモチーフが紋切り型といえば紋切り型とも言えるけれど、それが名古屋のイメージだとするならば、何年続いてもいいと思います。それをいかに現代に落とし込んでいくか、という意味では、なかなか、どれを見ても興味深かったです。
建畠 晢

自分の”まち”とか故郷を思い起こさせてくれる良いコンペティションだと思いました。最近はとかく外に向けてという企画が多い中で、自分の立ち位置というか根源的な意味みたいなことを改めて問いかけられる内容でした。
廣村 正彰

自分の”まち”をどう見せたいか、どう見られたいか、どのようにPRしたいか。これ一回だけで「ああ、いいのが集まったね」ではなく、宝探しをするような感じで続けていくと、何かが見つかってくると思います。
山内 瞬葉

審査委員[名古屋](敬称略・50音順)
祖父江慎

祖父江 慎(そぶえ しん)

ブックデザイナー

1959年、愛知県生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科を中退後、グラフィックデザイナー、アート・ディレクターとして活躍しながら、現在、コズフィッシュ代表。すべての印刷されたものに対する並はずれた「うっとり力」をもって、日本のブックデザインの最前線で、小説、漫画、絵本、写真集など幅広いジャンルを手がけている。過去の仕事をまとめた『祖父江慎+cozfish』(PIE BOOKS/近刊予定)の刊行が待たれる。

建畠 哲

建畠 晢(たてはた あきら)

あいちトリエンナーレ2010 芸術監督/国立国際美術館館長

1947年、京都生まれ。1972年早稲田大学文学部フランス文学科卒。1972–1976年新潮社「芸術新潮編集部」。1977–1989年国立国際美術館主任研究官。1989年–2005年多摩美術大学教授。2001–2002年コロンビア大学訪問研究員。2005年–現在国立国際美術館長。多摩美術大学客員教授。
1990年、1993年ベネチア・ビエンナーレ日本コミッショナー、2001年横浜トリエンナーレ芸術監督。詩人としては「余白のランナー」(1991年)で歴程新鋭賞、「零度の犬」(2004年)で高見順賞を受賞。

廣村 正彰

廣村 正彰(ひろむら まさあき)

アートディレクター/グラフィックデザイナー

1954年 愛知県生まれ。77年田中一光デザイン室 入社。88年廣村デザイン事務所設立。

主な仕事 岩出山中学校サイン計画。埼玉大学サイン計画。函館みらい大学UI。日本科学未来館CIサイン計画。CODAN東雲VI計画。丸ビル宣伝計画。日産自動車デザインセンターサイン計画。奈良平城遷都1300年記念事業マーク。横須賀美術館VI。乃村工藝社本社ビルサイン計画。9h nine hours 京都VI計画。
07年ギンザ・グラフィック・ギャラリーにて『2D→3D』展開催。
08年毎日デザイン賞受賞。現在 東京工芸大学教授。

山内 瞬葉

山内 瞬葉(やまうち しゅんよう)

グラフィックデザイナー

1949年、愛知県生まれ。1970年東邦学園短期大学商業デザインコース卒業。1971年同研究科卒業。岡本滋夫デザイン事務所、(株)ジマを経て、1979年山内瞬葉デザイン室を設立。1983年第1回 NAAC展奨励賞。1983年第1回JAGDA新人賞。日本デザインコミッティー・デザインフォーラム’83銅賞。1983年第8回・1988年第13回愛知広告協会賞愛知県知事賞。 1998年全国カタログポスター展ポスター部門印刷研究所賞受賞。

Lin Jia Yang

林 家阳(Lin Jia Yang)

同済大学クリエイティブデザイン学部教授
中国ビジュアルアート研究委員会委員長

ビジュアルデザインを専門とする。ベルリン芸術大学にて修士過程を修了。上海のデザイン界を牽引し、数々の受賞と功績、著名な研究論文がある。多数の有名中国企業のビジュアルデザインディレクターとして活躍。北京オリンピック(2008)のロゴ審査など、多くの国際プロジェクトの審査委員も務める。

賞及び表彰

名古屋では、10月17日(日)11:00より展覧会場にて授賞式を行います。
各都市のグランプリ受賞者1名、合計7名にはそれぞれ賞金20万円(2000USドル)とユネスコのメダルが授与されます。

入賞作品展示日程

CODE: ポスターデザイン・コンペティション 入賞作品展

テーマ:
「CODE: 都市のアイデンティティ」
会期:
10月9日(土)- 17日(日)11:00 - 20:00(会期中無休)
会場:
国際デザインセンター 4Fデザインギャラリー

※他都市の入賞作品と合わせて70点とともに展示します

また、入賞作品全70点は2010年9月から2011年12月の間に各ユネスコデザイン都市において展示され、各都市のウェブサイトでも紹介されます。

上海
2010年9月15日(水)〜22日(水)| 6th International Creative Industry Week | SVA Creative Industry Park
2010年9月23日(木)〜31日(日)| 巡回展示 | 20のCreative Industry Park

名古屋
2010年10月9日(土)~17日(日)|NAGOYA DESIGN WEEK|デザイン・ギャラリー(国際デザインセンター)

神戸
2010年10月15日より|「KOBEデザインの日」記念イベント|KIITO((仮称)デザイン・クリエイティブセンターKOBE)

ブエノスアイレス
2010年10月22日より|ブエノスアイレス・インターナショナル・デザイン・フェスティバル|メトロポリタン・デザインセンター

ベルリン
2010年11月4日より|クリエイト・ベルリン・ショールーム

深圳
2010年12月6日より|デザインフェア|The Oct Art & Design Gallery

モントリオール
2011年6月2日より|センター・ド・デザイン UQAM

他都市の入賞作品

他都市の入賞作品は以下のウェブサイトでご覧いただけます。

CODE BERLIN | www.create-berlin.de
CODE BUENOS AIRES | www.code.buenosaires.gob.ar
CODE KOBE | www.ithinkobe.jp/kobe-code
CODE MONTRÉAL | www.realisonsmontreal.com
CODE NAGOYA | www.creative-nagoya.jp/code
CODE SHANGHAI | www.scic.gov.cn, www.021ci.com
CODE SHENZHEN | www.shenzhendesign.org

コンペ開催の背景

ユネスコ・クリエイティブ・シティーズ・ネットワーク(UCCN)は、2004年10月に創設されました。UCCNは、都市の創造性を高め、文化の多様性を促進するユネスコの取り組みに賛同し、文化的、社会的、経済的発展のために経験やアイデア、事例を共有したいと考えている都市を結びつけるものです。

現在、デザイン都市として、ユネスコ・クリエイティブ・シティーズ・ネットワークに認定されている都市は、ベルリン、ブエノスアイレス、神戸、モントリオール、名古屋、上海、深圳の7都市です。

このUCCNの枠組みの中で開催されるコンペティションは、7デザイン都市による初の共同プロジェクトとなります。

本コンペティションは、モントリオールを拠点に活動するシッド・リー社のアイデアによるものです。シッド・リー社は、モントリオールのユネスコ・デザイン都市認定を記念して、2006年に社内でポスターデザイン・コンペティションを開催し、その後「クリエイト・ベルリン(主にベルリンで活動するデザイナーのためのネットワーク)」に対して、同様の提案を行い、コンペティションが開催されました。このモントリオールとベルリンでの新たな取組みの成功を契機に、すべてのユネスコ・デザイン都市が、共にポスターデザイン・コンペティションを開催することとなりました。
また、コンペティションの概要は、「クリエイト・ベルリン」の「CODE」というプロジェクトをベースにしています。

※「CODE」とは、ベルリンを拠点に活動する ® RUDDIGKEIT CORPORATE IDEAS社のRABAN RUDDIGKEIT氏が考案した造語です。

主催者

2010年、ポスターデザインを募集する都市は、ブエノスアイレス、神戸、モントリオール、名古屋、上海、深圳の6都市です(ベルリンについては、既に、2009年に実施し、入賞作品を決定しているので、今回は募集しませんが、巡回展示は、ベルリンでも実施します)。

[各主催者連絡先]

BERLIN | Martina Zeyen
martina.zeyen@create-berlin.de | www.create-berlin.de

BUENOS AIRES | Javier Gonzalez King
gestiondediseno_cmd@buenosaires.gob.ar | http://code.buenosaires.gob.ar

KOBE | Ritsuko Nagao
kobe-design-code@office.city.kobe.lg.jp | www.ithinkobe.jp/kobe-code

MONTRÉAL | Melinda Pap
info-code@buildingmontreal.com | www.buildingmontreal.com

NAGOYA | Eriko Esaka
info-code@creative-nagoya.jp | www.creative-nagoya.jp/code

SHANGHAI | Qilin Zhang
codeshanghai@126.com | www.scic.gov.cn, www.021ci.com

SHENZHEN | Yao Zhenghua
yaozhenghua123@hotmail.com | www.shenzhendesign.org

名古屋:
クリエイティブ・デザインシティなごや推進事業実行委員会
構成団体:名古屋市/名古屋商工会議所/株式会社国際デザインセンター/中部デザイン団体協議会

ユネスコクリエイティブシティネットワークについて

2004年10月に創設されたユネスコクリエイティブシティネットワークは、共通の独創性をもつ都市どうしがそれぞれの成功事例やノウハウを共有できるよう交流を推進し、その結果として、国際的ネットワークを通してそれらの都市の発展を促進しています。